
車の板金塗装における「調色(ちょうしょく)」とは、修理する部位と元のボディカラーが自然に馴染むように、塗料の色を細かく調整していく作業のことです。
車の色はメーカーが定めた「カラーコード」に基づいて作られていますが、実際の車体の色は以下のような理由で少しずつ変化しています。
・日光による色あせ(退色)
・使用年数による色の劣化
・洗車やワックスによる表面の変化
・保管環境(屋内・屋外・地域)による違い
・製造時の微妙な個体差
そのため、同じカラーコードでも“その車だけの色”に合わせる必要があります。
もし調色が合っていなければ、修理した部分だけ浮いて見えてしまい、修理跡が一目で分かってしまいます。
つまり調色とは、ただの「色合わせ」ではなく、塗装の仕上がりを大きく左右する、とても繊細で重要な工程です。
調色業務をどのように進めるのか?
調色には大きく分けて3つの進め方があります。
1.職人が目視で行う方法
2.測色機(色を測る機械)を使う方法
3.職人の技術 × 測色機の精度を組み合わせる方法
それぞれの特徴を詳しく説明します。
① 塗装職人による調色(目視調色)

もっとも古くから行われてきた方法が、熟練職人による目視調色です。
車体の色を見ながら、何種類もの塗料を少量ずつ混ぜ、少しずつ色を近づけていきます。
職人による調色の流れ(例)
(1)車体の実際の色をあらゆる角度から観察
(2)色の明るさ(明度)、濃さ(彩度)、色味(色相)を見極める
(3)ベースとなる塗料に微量ずつ色を加えて調整
(4)テストパネル(小さい板)に塗って乾かす
(5)実車にかざし、差がある場合はさらに調整
(6)最終的に違和感がなくなるよう仕上げる
職人調色のメリット
・人間の目にしか判断できない微妙な色のクセを拾える
・経年劣化、日焼けの具合など、機械が読み取れない部分を再現できる
・古い車や特殊カラーなど、データの少ない色にも対応できる
デメリット
・経験値によって仕上がりの精度が大きく変わる
・手作業のため時間がかかる
・職人の眼の老化などの要因で再現性が難しく、同じ職人でも日ごとに微妙に仕上がりが異なることも
以上より目視調色は 「感覚」と「経験値」が非常に重要な職人技と言えます。
② 測色機による調色(デジタル調色)

近年は、調色作業に 「測色機」 と呼ばれる専用機器を使うケースが増えています。
測色機を車体にあてて色を読み取ることで、色の成分を数値化し、最適な塗料配合を自動計算 してくれます。
測色機調色の特徴
・高精度のセンサーで車体の色を読み取る
・得られた数値をもとに、メーカーの膨大なデータから近い色を検索
・そのデータに基づき、塗料の配合比率を自動表示
メリット
・短時間で高い精度の“基準色”を作れる
・新人でも一定レベルの調色ができる
・人の感覚によるばらつきが少ない
・補修時間の短縮につながる
デメリット
・パール塗装や特殊色など、複雑な色の場合、注意が必要
・測定面の状態(汚れ・傷)によって誤差が出ることもある。測定面に気をつける
測色機は今までの長年の職人の経験を数値化し、経験の浅い職人でも塗装を可能にする夢の機械と言えます。
③ 測色機+塗装職人(ハイブリッド調色)
最も高い仕上がりが期待できる方法です。
測色機を用いた上で、最終的に目利きの職人が塗装面を確認するという流れです。
ハイブリッド調色の流れ
- 測色機で車体の色を読み取り、基準となる配合データを準備
- その配合色を元に実際に塗料を調合
- 職人が実車に合わせながら微調整(0.1g単位で調整することも)
- 光の当たる角度・環境光・隣接パネルとの馴染みを確認
- 最終的に「どこを塗ったか分からない」自然な色に仕上げる
メリット
・最も正確で違和感のない色を再現できる
・大きな時間短縮と、仕上がりの美しさを両立
・高級車・特別色・パール塗装など難しいカラーにも対応可能
・機械の精度と人の感覚、両方の長所を活かせる
デメリット
・測色機と職人、どちらの技術・設備も必要
・仕上がり重視のため、場合によっては時間をかけて微調整することも
測色機で対応しつつ最終的にプロの塗装職人が確認する。この流れが現時点で最も美しい仕上がりを生むと思われます。
塗装に自信のある業者を選ぼう
車の修理や板金塗装を依頼する際、どの業者に任せるかは仕上がりを大きく左右します。同じ色を塗っているはずなのに「色が微妙に違う」「修理した部分が浮いて見える」というトラブルは、調色技術や塗装の経験不足が原因で起こることがほとんどです。だからこそ、塗装に自信のある業者かどうかを見極めることが非常に重要です。
まずチェックしたいのが、測色機(カラーメーター)を導入しているかどうかです。測色機は車のボディカラーを数値で解析し、最適な塗料配合をデジタルで提示してくれる機器です。これがあることで色合わせの精度が大きく向上し、仕上がりのムラや違和感が出にくくなります。調色は塗装の中でも特に難しい工程のため、最新の設備を積極的に採用しているかどうかは、技術力の高さを判断する重要なポイントです。
さらに、経験豊富な塗装スタッフが在籍しているかどうかも確認しましょう。測色機がどれだけ高性能でも、最終的に色を合わせて仕上げるのは職人の目と手です。日焼けや経年劣化など、機械だけでは判断しきれない色のクセを見抜き、細かく調整できるのは熟練スタッフならではの技術と言えます。
そしてもう一つ大切なのが、塗装業務の経験がどれだけ豊富かということ。長年にわたって多くの車種・カラーを扱ってきた業者ほど、色の特徴や塗料の性質を深く理解しており、難しい色にも柔軟に対応できます。現場で培われた実績は、仕上がりの美しさへと直結します。
車の見た目は、ただ修理ができればいいわけではなく、「どれだけ自然に仕上がるか」がとても重要です。測色機を備え、経験豊富なスタッフが揃い、塗装実績も豊富な業者なら、あなたの大切な車を安心して任せることができます。信頼できる業者を選び、大切な車を最良の状態へ戻しましょう。
まとめ
車の板金塗装は、決して「ただ色を塗るだけ」の作業ではありません。どれだけ丁寧に鈑金をしても、最終的な仕上がりを決めるのは“調色”と“塗装技術”です。色がぴったり合っているか、周囲のパネルと自然に馴染んでいるか、光の反射まで美しく整っているか――そのすべてが職人の技術と設備によって左右されます。
ちなみに当社が大切にしているのは、お客様の車を「修理したことが分からないほど自然な状態」に戻すこと。そのために、測色機による高精度の色解析と、経験豊富な職人による最終調整を組み合わせ、車一台一台に合わせた最適な塗装を行っています。長年の経験で培った知識と技術、そして最新の設備を活かしながら、仕上がりに妥協しない施工を心がけています。
もし「本当にキレイに仕上がるだろうか」「色はちゃんと合うのだろうか」と不安をお感じであれば、ぜひ一度オートサービスツチヤにご相談ください。お客様の愛車が再び美しく輝くよう、責任を持って丁寧に対応いたします。お気軽にお問い合わせください。


